2010tateyama(3) 富山3日目〜弥陀ヶ原〜Part.1

弥陀ヶ原の風景

3日目は天狗平からおりて、弥陀ヶ原を散策。
皆昨日の室堂散策で筋肉痛を催していたのでゆっくりゆっくり。


弥陀ヶ原はこんなところです。
広〜い湿原でとても気持ちがいいですよ!
広い湿原に点在する池のようなものを田んぼに見立てて
「ガキ田」というそうです。

ガキ田の真ん中に生えている稲のような植物はミヤマホタルイ。
葉を持たず茎だけで光合成をしています。

モウセンゴケの群落


それから感動したのがガキ田の周りで群落をなしていた、食虫植物モウセンゴケ
山口にもモウセンゴケは自生しているけど、これほどまでの群落は見たことがない!
モウセンゴケは貧栄養な他の植物たちが住みにくい環境で、虫をとらえるような独自の器官をもち生きぬけるように進化しています。
だから逆にいうと、他の植物たちが住みやすい環境では競争に負けてしまうんです。
あまりに特殊な環境に専門化しすぎてしまったのですね。
そのため周りに草が生い茂ってしまったり、水分が失われたりすると、他の植物に負けていつのまにか消えてしまうこともしばしばなんです。


調べてみると、この湿原の下の土は泥炭層とよばれる、枯れた植物が分解されずに堆積したものだそう。
水のしみこみにくい層が下の方にあり、寒さのため植物が分解されないためにこのような層が形成されるようです。
泥炭層の泥炭土は、植物の分解が不十分なため、植物の成長に必要な鉱物が十分でなく、有機物ばかりが含まれた土となっています。
さらに泥炭土が出す腐植酸の影響で土壌は酸性になり、ヌマガヤなどの植物が生息しにくい環境になります。
その結果、「酸性土壌」「低温」という厳しい環境条件に耐えられるミズゴケが生え、
水分をたくさん含んだミズゴケの上にモウセンゴケが自生することができるということなんです。

とまって嬉しい!?悲しい!? 高山チョウベニヒカゲとの出会い


湿原の中を歩いていると、木道のまわりを飛ぶ小さなチョウが!
おそらく高山特有の高山チョウの一種だろう、ってことで皆で観察していると、
「あー!チョウが服にとまった!」
そっと立ち上がっても離れません。
服にチョウが止まった母は、
「チョウのお気に入りなのかも」
とちょっと自慢気。
家族みんな「いいな〜」とうらやましそうに見ていました。


そして、しばらく歩いて行くと
木道に集まるチョウたちを発見。
そこには獣のフンが。


一瞬にしてチョウが止まったのがあんまり嬉しいことではなくなりました笑。


このチョウは「ベニヒカゲ」と呼ばれる高山蝶の一種で、人なつっこい性格のようです。
登山者の汗を吸いに来たり、ジュースを飲みに来たりすることもあるとか。


ベニヒカゲは8月中旬〜9月中旬にかけてのみその姿を見ることができます。
成虫でいられる時間はたった1ヶ月。高山に住む昆虫ならではの短い命ですね。
立山の厳しい冬は幼虫の姿で乗り切ります。
9月頃産み付けられた卵は約3週間で孵化。その後カヤツリグサの仲間などを食草にして成長し、雪が降り始める10月からは植物のかげに潜んで春まで休眠するようです(ゴマダラチョウとかと同じ?)。6月頃目覚め、蛹になり、それから成虫になるようです。


この日は、ナゴボノワレモコウを食草にするコヒョウモンも見られました。

弥陀ヶ原の高山植物

ハクサントリカブト国民宿舎前にて。)


オヤマリンドウ(つぼみのように見えますが、これで咲いた状態。ほんのちょっとしか開かないようです)


ガボノワレモコウ


シモツケソウ


タカネニガナ

*次回に続きます。