日本一小さいトンボに会いにゆく。

用事があって久しぶりの帰省中です!
梅雨明けが発表されて,今日は何日か前の大雨がうそのような青空が広がりました.
太陽の光が強く,周りの風景もコントラストが高く,くっきりと見えます.
いいですね〜 夏ですね^^


というわけで,午後からサイクリングへ出掛けました.
見渡してもカマキリはいないし,日曜なのに子どもたちも外に出てない.
いや〜みんなこの暑さにバテてるのかな,この暑さがいいのに^^
・・と思いながら走っていたのですが..

暑さに自分もバテてしまいました(笑).
日陰がない田舎道は,アスファルトから吹き上がる熱風が何ともすごい^^;


さてさて今回の目的のひとつは日本最小のトンボ,ハッチョウトンボ

ちなみに日本最大のトンボはあのでっかいオニヤンマですが,
最小のトンボはどのくらいの大きさでしょうか?


その大きさは約2cm.
2cmというと1円玉の直径くらいの大きさです.
コイツをはじめて見たのは広島県のとある場所だったんですが,
「あれ,ホントにトンボ?? ハエじゃない?」
っていうのが第一印象でした.
遠くから見るとまるで赤い小さなハエが飛んでいるかのようなのです.
しかし近づいてみると,小さいながらもしっかりトンボの構造をしていてとても可愛らしいです^^


そんなハッチョウトンボを家から20分の場所で発見したのは,1年を通して池のトンボ相を調査していた5年前.
なんかハッチョウトンボいそうだな〜と目星をつけていた場所だったのですが,
発見できたときは,地元に彼らが残っているのがわかって本当に嬉しかったです.


ハッチョウトンボはトンボの中でも極端に小さいという特殊な特徴をもっているので,生息できる環境も限られてきます.多くの生息地の環境は浅い水面が広がる湿地です.
そこを利用するトンボが限られているからこそ,ハッチョウトンボのような小さなトンボが生き残ることができるのですね(もし水生植物が生い茂って大型の種がたくさん生息するようになると,それらに捕食されるなどしてハッチョウトンボは少なくなってしまいます).


見つけた環境は池の最上流部の湿地.森林公園内で適度に草刈がなされる場所で,遷移が進むことなく環境が維持されてきたことがハッチョウトンボにとっては好都合でした^^


今回2年ぶりの再開を夢見て,湿地を訪ねました!
胸を踊らせながら歩いて行くと..


「お!いるいる!」
1匹だけですがメスのハッチョウトンボを発見しました!
*1
*2
この写真を見ていて,あれ?何かトンボにしてはおもろい止まり方してるなって思った方も多いはず(笑).
他のトンボには見られない,まるで体操選手のような「逆立ち」ポーズ!

なぜこのような止まり方をしているのかというと,体に受ける日光を少なくするためのようです.
つまり強い日光の,小さな体へのダメージを減らそうとこんなポーズをとるのですね.
くもりの日には他のトンボのように尾をまっすぐ伸ばしたかたちで止まっている姿を見ることができます.


ちなみにオスは真っ赤な色をしているのですが,今日は確認できませんでした.
これからがシーズンなので,まだ出てきてないのかな.


でも出会えてよかった,よかった^^

池ではキイトトンボもたくさん飛んでいました.
*3

今日のいきものーと

ハッチョウトンボ Nannophya pygmaea
(トンボ目トンボ科ハッチョウトンボ属)

  • 日本一小さなトンボ,世界でも最小のトンボの1種(ちなみに日本一大きなトンボはオニヤンマ).
  • 成虫の体長は一円玉の直径と同じ20mmほど(オスのほうがやや大きい,).
  • オスの体は羽化直後は橙褐色,成熟すると体全体が赤みを帯びる.メスは茶褐色で,腹部に黄色や黒色の横縞がある.
  • 本州・四国・九州に分布,世界では東南アジア付近の熱帯域を中心に分布.
  • 平地〜低山地の,日当たりが良い湿地帯に生息する.湧き水があり,背の低い水生植物が生え浅い水面が広がっているような場所を好む.
  • 良好な自然環境が残されている場所に生息する「指標昆虫種」に指定されている(環境省).
  • 山口県岩国市の周辺では7月頃成虫が出現し,9月頃まで見られる.

*1:ハッチョウトンボ,EOS 50D + EF100mm macro,山口県岩国市

*2:ハッチョウトンボ,EOS 50D + EF100mm macro,山口県岩国市

*3:イトトンボ,EOS 50D + EF100mm macro,山口県岩国市