科学は何のために・・

「プロフェッショナル仕事の流儀」で生物時計の研究をしている生命科学者上田先生が登場していました.
「科学は何のためにあるのですか?」みたいなことを先生は聞かれて「最終的に幸せに結びつけばいい」と答えていらっしゃっていました.科学の最終目的は幸せのため.この言葉は心に残りました.
 先生は生命の謎にただならぬ興味を持ち,生物時計の仕組みについて詳しく研究されているようです.生物時計はDNAの中の時計遺伝子に由来するそうで,いろいろな病気の発症時間とも関係しているようです.つまり,生物時計の仕組みを解明し,薬などを投与する時間を病気に合わせて調節する事で,より高い効果が得られるというのですね.このように生物学のいわゆる基礎分野でも医学等と密接につなぎ合った部分では,科学は幸せに貢献しているという事実が素直で分かりやすい気がします.
 しかし,例えば分類学,植物・動物生態学,行動学などの分野ではどうなのでしょう.こんな未熟者がいうのも恥ずかしいのですが,その分野が直接人の影響に役立っている,ということは研究者は実感できないような気がするのです.そのようなとき研究者に科学を追求するエネルギーを与えるのはやはり本人の興味関心なのでしょうか.
 私は生態学に興味を持ち,これから専門に勉強しようと思っているのですが,1年後期に入り専門的に勉強する中で結構そんな壁にぶつかるようになりました.やはり,人に役立っているという実感が欲しいのですね.私自身直接人に役立っているという実感が欲しいタイプであることが分かりました.
 このような私が将来研究者としてこの分野を極めるとしたら,人に役立ちたいという思いをどのような形で満たせば良いのだろうか.
 そしてもし目的を自分自身の興味と知的好奇心にしか見いだせないとしたら,その学問に対するただならぬ関心が必要なはずです.自分にはそれほどのこの学問に対する情熱があるのか.研究の目的を何に見いだすのか.なかなか答えは見つかりません.
 ただ私は生き物が自然に生きる姿を眺め,写真に撮影し,のんびり自然とふれあう事が好きなのですね.それなら必ずしも専門的に研究する研究者でなくてもよい気がするのです.この疑問はこれからしっかり考えて行きたいと思います.